<2010. 9. 10 旅のまとめ 屋久島日記>

last update 10.September.2010




 さぁ、いつものように「旅のまとめ」をしなくてはならない。
 せっかく「旅をさせてもらった」のだから「まとめ」は毎回自分に課
している。

 屋久島で楽しかったこと、印象に残ったことをいくつかあげてみよう。

 まず、刺身がうまかった!

 刺身がうまいのは「秋・冬」なぜならあぶらがのっているから。
 屋久島のガイドブックにも「夏」の旬のページには残念ながら「刺身」
は掲載されていない。うん、でも一、二回でいいから「屋久島の刺身」
は食べたいな、とは思っていた。

(ガイドブックは「ことりっぷ」がお薦め。お洒落なデザインです)

 8月2日(月)にチャンスはめぐってきた。
 地元のたかえさんといっしょにクルマで七里家に向かう途中〜

「お魚、買いますか」とのこと。
「はい」とボク。

 そこで丸高水産に立ち寄った。

 どれにしようか迷っていたらお店のおばさんが
「せっかくだから地元のお魚はどうですか」
 ボクは「はい、地元のお魚がいいです」

 というわけで、屋久島で釣れた「ホタ」をさばいてもらった。
 立派な魚だ。そして、うまかった。くせのないお味。

 二度目のチャンスは、8月6日(金)

 夕方、くすくす(宿)にて七里さんと待ち合わせ〜

 その朝、ボクは七里さんに「地元の刺身を買ってきて」
とお願いした。
 七里さんも快く「そうだよね。せっかく屋久島に来ているんだもんね」
と言ってくれた。

 そして夕方、七里さんはかんぱちの刺身を買ってきてくれた。
 これがあぶらもちゃんとのっていてうまいのなんのって・・
 その味におどろいた。
 これが海の恵みなんだ、と。
 なんというぜいたく。

 みなさんも屋久島に着いたら、まずは「お魚屋さん」へ
 どれが屋久島産かを聞いて買おう。
 快く教えてくれます。

 そうそう、トビウオの開きもお薦め。
 トビウオの焼き魚もほんまうまかった!
 夏でも買えます。

*

 ヤクデン(スーパー)の「よかたん豆腐」も Good!
 九州産の大豆。水は屋久島の湧き水。絶品。

 ふるさと市場の無農薬のはんだま、つるむらさき、モロヘイヤ。
 これもおいしい。どれでも100円。

*

 自然食品の店「みみ商会」
 ここでマルシマのしょうゆ(ハーフ・サイズ)をどうぞ。
 一升瓶もあったが、冷蔵庫に収まるサイズを選んだ。

*

 食べ物のことばかりではいかん。(笑)
 ウミガメのことも書かなければ。
 ウミガメのことは7月30日(金)の日記に詳しく書いたので、今日
は少しだけトーンを変えて書いてみよう。

 ウミガメの産卵は昔テレビで観たことがあった。

 しかし実際には(なんでもそうだが)迫力が違う。

 ウミガメの巨体。
 砂をかきわけ、かきわけ、掘っていく、そのスピード。
 卵を産むスピードも想像よりも速かった。
 そして埋めていくスピード。

「カメは動作が遅い」というイメージから、産卵もゆっくり行われるも
のだ、と勝手に想像していた。しかし、思っていたよりもはるかに速い
ものだった。(といっても、それほど速いわけではない)

 それからカメはヒトの話し声がほとんど聞こえない。
 だから、普通に会話していても、産卵をやめることはない。

 ところが光には敏感だ。
 なので懐中電灯の使用は固く禁じられている。
(もちろん真っ暗な砂浜なので、懐中電灯は必携)

 つまり、月明かり、星明りの中で、産卵の様子を見るのだ。
 非常に暗いのだが、それでもヒトの目もよくできているもので、時間
が経てば暗さに慣れて、相当細かなところまで見えるようになる。

 しかし、そうだな、一番感動したシーンは?と聞かれれば、それは最
初のシーンだ。すなわち、ウミガメが海から砂浜にゆっくり上陸してき
たシーン。

 いや〜、体長1mほどの巨体がゆっくり、ゆっくり砂浜へ上がってく
る様子はなんとも言えない。おぉ〜〜、と心の中でつぶやいた。

 夏の産卵シーズンに、ウミガメが好む砂浜に、夜、居なくてはみられ
ない光景。

 屋久島ウミガメ館 館長 大牟田(おおむた)さんの話も日記に詳し
く書いたのでここでは重複しないようにするが、つまり、大牟田さんの
話を聞いていて思ったのは、いつもと同じことで恐縮だが「ヒトは環境
破壊して給料をもらう動物だ」ということだ。そして月給ということば
通り、毎月の給料がほしい!というヒトが多数派になっているので、環
境破壊はし続ける必要がある、ということになってしまっている。ボク
が知る限りあらゆる産業は環境破壊をし続けているので、どうか自然を
愛するサラリーマンやその奥さまは胸に手をあてて考えてほしい。自分
の人生は果たしてこのままでいいのか、と。

 それはともかく、大きな愛らしいウミガメ(メス)の姿や仕草は、し
っかり脳裏に焼きついて忘れられない。

 どうにか、ウミガメを絶滅させない方法はないものか。

 先日、九州由来のクマはすでに絶滅していることが判明した。
 本州のクマが絶滅するのも時間の問題だ。
 世界中のオオカミが絶滅している。
 愛すべき「象」「ゴリラ」「オランウータン」・・
 みな、絶滅まであと50年以内だと言われている。
 海に魚という魚が一匹もいなくなるという予測も出ている。

 人類だけが大丈夫なわけがない。

 たくさんの動植物を巻き添えに人類が滅びていく、最後の10年なの
だろうか・・?

 だとしたら、人口爆発してしまっている人類の一人であるボクにでき
ることは、なにもしないこと。

(世界の人口は、1分に140人、1日で20万人、1年で8千万人、
増えています。世界中で、1年に6千万人が亡くなり、1億4千万人が
産まれます)

 屋久島へ行くのに、飛行機もフェリーも利用させてもらった。

 みんな、ごめん!

 けど、最後のウミガメの産卵シーン。
 コケに覆われた白谷雲水峡の屋久杉の巨木たち。

 これだけは見ておきたかった。

 一人の人間のわがままだ。

 ボクだって矛盾だらけだ。

 もう、なにもしたくない。

 誰も傷つけたくない。

 のに、間接的に、きっと誰かを傷つけているのだろう。

 強い(いまだけ?)円をもって、日本人として日本で暮らしているだ
けで、その「格差」が暴力となって、海の向こうに住むヒトたちを傷つ
けている可能性がある。

 なので、ボクは最近、毎日、ピアノを弾いている。
(ピアノ教室の生徒さんたち、ありがとう!)

*

 話がだいぶそれてしまった・・(笑)

 白谷雲水峡の登山のことも書かなくてはならない。

 屋久島と言えば「縄文杉」が有名だ。
 しかし「縄文杉」までは片道6〜8時間もかかる本格的な登山。
 登山に慣れていないヒトにはけっこうきつい。
 ところが屋久島の一番人気はこの「縄文杉」を見に行く登山。
 登山道にも貴重な杉の根が張り巡らされており、それをどうしても登
山者が踏むので根の痛みも激しい。

 そして縄文杉には柵ができてしまった。
 近づけば、ヒトが根を痛めるわけだから致し方ないのだろう。

*

 ボクは旅するとき、こんなふうに考えている。

 ラオスでも屋久島でも、一番人気があるのはどこかな?
 そして次に、なにもそこへ行かなくたって、旅は楽しめるのではない
か。いや、むしろ思い切ってそこを旅行日程表からはずすことによって
より良い「旅」にすることができる可能性もあるんじゃないか、と。

 人気があるから、その場所へ行く、というのは(否定はしないが)あ
まりにも短絡的だ。

 それよりも、自分の好みはなにか、今回の旅はどんな旅にしたいのか、
というところから「案」を練っていく方がおもしろい。

 なので、おのずとパック旅行は選択肢からはずれていく。

 今回の場合、ボクは「コケに覆われた杉の巨木と屋久島の清流」を見
たかったので、行き先は「縄文杉」にはならず、「白谷雲水峡(しらた
にうんすいきょう)」と決まった。

 そして、期待は全く裏切られず、いや、期待を上回る「屋久島の大自
然」がボクらを待っていた。

 宮崎駿の「となりのトトロ」のイメージが型つくられたと言われてい
る「白谷雲水峡」。

 もちろん屋久島の「コケ」の写真は何度も見たことがあった。

 しかし、実際には「コケ」の種類は豊富で、薄いものもあれば、ほと
んど草に近いものもある。水を蓄えていて、あちこちのコケから水滴が
滴る(したたる)光景はなんとも幻想的だ。さらに視点を数メートル先、
数十メートル先に移したときのコケの姿が美しい。文字通りびっしりと
山全体を覆っていることがわかる。これほど見事なコケを見たのは生ま
れて初めてだ。当然コケとカビは異なる。カビの胞子はときに人間にと
って脅威となるし、第一カビくさいのはみんな苦手。だが登山中、もち
ろんカビとは無縁。不思議だな、と何度も思った。自然というのは放っ
ておいても、人間に害になるようなものは基本的には用意しないんだな、
ということが。もちろん「蚊」「ヒル」それに「ハチ」「ハブ」などは
脅威ではある。(これらにはこの日、白谷雲水峡では出会わなかった)

 登山をすればときに呼吸は荒く激しくなる。そんなときも新鮮な山の
空気を肺いっぱいに吸い込んでいるので、普段では考えられないような
力が湧いてくる。おまけに上流に人家が一軒もない清流の水を何度も頂
きながらの登山。この水にも有機ミネラルがたっぷりと含まれている。
足を普段から鍛えていないとさすがに筋肉痛にはなるものの、多少、ハ
イキングの心得があるヒトならばぜひ「白谷雲水峡」のハイキングをお
薦めする。

*

 子供さんがまだ小学生のうちに会社を辞めて、娘さんか息子さんとい
っしょに屋久島へ二週間以上行くといい。

 給料なんかなくても、全然大丈夫ってことがわかるから。

 それよりも、子供たちのために、これ以上、自然を傷つけないことが
大事だ。

 だから会社を辞めてしばらくのんびりしていればいい。

 すると、必ずなにかをしたくなる。

 それはきっといいことに違いない。

 ふじかわ おさむ



 Top Page




































inserted by FC2 system