<大きくて危険なものには「おカネ」がつく>

last update 14.August.2009

 山口県の田ノ浦に上関(かみのせき)原発を建設する
話がある。そこからわずか4kmしかはなれていないと
ころに祝島という美しい島があって、27年間も原発立
地に反対し続けている。デモの回数は1050回を超え
るというからまさにギネスブックもの。祝島のヒトたち
の地に足のついたすばらしい活動は、モノクロ写真集「
中電さん、さようなら」に詳しい。また、映像が好きな
ヒトには「ぶんぶん通信 no.1 」がおすすめ。スナメリ
やカンムリウミスズメが生息している本当にきれいな島
で、ここに本当に原発ができてしまうのかと思うと、正
直、腹の底から湧き上がる憤りはボクもなかなか隠せな
い。

 いつももちろん、原発建設に反対しているし、いろい
ろなMLにも参加して情報収集・勉強させてもらってい
る。しかし、最近、思うのは、ただ単に正面から「原発
反対!」と叫んでも、原発建設の波は止まらないんじゃ
ないか、ということ。原発立地を進めたい行政側、企業
側の論理を、反対派はもっと考えるべきだと思う。

 日本には過去に議決されたことが二つあって、

1.日本のエネルギー(電気)はなるべく原発で発電し
ます。(火力発電に対し原子力発電の比率を高める)

2.日本は「核」をリサイクルします。

 1.にも困ったが、2.はもっと恐ろしい・・

 けど、とにかく上記が「国」の方針。

 で、日本人というのは過去に決まったことを「くつが
えすことができない」という性格が強いので、どんな悪
法も延々と大切に守られる。なんといってもこの慣習が
問題!と思う。

 なぜ「過去に決まったことをくつがえすことができな
いのか」というと、それをいまくつがえした結果、なん
らかの問題が浮上してしまった場合、責任をとるのがイ
ヤだからなのだそう。(ボクはいま日本が「脱原発」の
方向へ政治家がきちんとした形で舵をきったらその政治
家はヒーローになれるんじゃないかと思うが、)

 まぁ、とにかく責任をとりたくない、という灰色の背
広を着てえらそうにしている割には「なんの決断力もな
い」「自分の利権しか考えられない」かっこうわるい政
治家像が頭に浮かぶ。

*

 しかし、上記に付随してもうひとつ、原発建設の波が
止まらない理由が最近わかった。

 それは・・

 大きくて危険なものには「おカネ」がつく、というこ
と。

 原発は巨大だ。あれだけの建造物をつくるわけだから
ゼネコンなど建設会社はホクホク。また原発内部に設備
を納品する大手電機メーカーもホクホクだ。

 さらに放射能は危険(キケン!)である。ここがまた
稼ぎどころ。誰もが放射能はキケン!だと知っているの
で放射能を防御する分厚い服も売れるし、設備や建物の
方でも放射能が漏れないようにあらゆる工夫をする。何
mもの分厚いコンクリートの壁をつくる。そう、セメン
ト会社もホクホクだ。

*

 つまり、大きくてアブナイものには「おカネ」がつく
ことをみんなが(意識しているにせよしていないにせよ
)知っているので、自分の給料のために、自分の家族(
子供)を養うためという大儀名分のもと、こんなに儲か
っちゃうおいしい原発建設はやめられない、という構図
が浮かび上がってくる。

*

 みな口をそろえて「会社は辞められない」というがあ
なたの会社はどんな会社だろう。電力会社と結びついて
いない会社はそんなにはない。メーカーであれば工場を
稼動させるのに電気を使うし、オフィスであればエアコ
ンを使っている。いや、もっと直接的に原発設備を生産
していたり、その部品をつくっていたり、はたまたソフ
トウェアで貢献していたりする。

 原発賛成ならば仕方がない。放射能を浴びると人間は
どうなっちゃうのか、よく本を読んでから賛成なり反対
なりもう一度考えてほしい。

(ここで、うすーい本の紹介。すぐ読めます)
(超おすすめ!)

「どうなるの?私たちの食べものとくらし」
(講演録)
 アイリーン美緒子スミス(グリーンアクション代表)
 小出裕章(京都大学)

(お問い合わせ先)
 コープ自然派  tel.078-998-0850
 価格:150 円

*

 しかし、原発反対なのに「いまの会社は辞められない、
家族(子供)もいるし、家のローンもあるし」と言って
いるヒトには疑問符を投げかけたい。まずあなたの仕事
内容はなんなのか。あなたの会社はどういう会社なのか。
それを調べてみることをお勧めする。すると少なからず
原発立地に関連していることを見出せる可能性が高い。
銀行・証券・保険などの金融業界は特に完璧に電力会社
を応援している形だ。メーカーもほとんどNGだし、テ
レビ、新聞、雑誌、広告代理店などもお話にならない。
(しかし、たまにいい記事があるので、そういうときは
ほめてあげたい)

*

 給料が高いヒト、年収が高額なヒト、は、なぜ自分が
高給取りなのかをよく調べてみるといい。たいていは電
力会社と結びついている。

 なのに「原発反対」というのは矛盾している。
(高給取りのご主人の奥様も、だ)

「原発反対」と言ってくださるのはうれしいが、その給
料をもらい続けるおつもりなら、言ってることとやって
ることが違うので、整合性がとれないまま一生を終える
ことになってしまう。

*

 ただ・・

 世の中、そんなに急に変わることもできないのかな、
とも思う。

 ローンにあえぐヒトはおカネのことばかり。
 生活していくのがやっとのヒトもパートに忙しい。
 普通に生活している中流のヒトも「おカネが大事」
 おカネ持ちは、高級車を買い、
 そして資産家は資産運用に頭をめぐらす。

 とにかく、世の中、ほぼ全員が「おカネ」が一番大事
と考えているわけだから、「カネになる原発」の建設を
やめるという話には、なかなかなりにくい。ただでさえ
「カネになる話」は減っているのだから、なおさらだ。
人間はどこまでいっても目先の「カネ」に目がくらむ。

*

 一方で、

 人里離れた山村で自給自足を目指しているヒトたち。

 会社を辞め、いまから、芸術の分野に飛び込もうとし
ているヒトたち。

 都会に住みながら、大企業には属さず、原発反対運動
にいそしむヒトたち。

 そういう清らかなヒトたちがいることを忘れたくない。

 また、まさに原発設備の会社に勤めていながら、真面
目に原発反対を考えているヒトもいる。それはそれで現
場のことがこちらにも伝わってくるので貴重な情報源だ。

 そういう意味では電力会社に勤めているヒトをも、も
ちろん敵にしたくはない。

 常に対話する姿勢だけは持ち続けたい。

(だいたい向こうが逃げ腰なので困っている)
(その割にはクレーンなど重機をつかった強行なやり方
で工事を開始する姿勢にはただただ驚くばかりだ)

 カネのためには手段を選ばず、こういう魂を「悪魔」
に売ってしまったような生き方だけはしたくないものだ。

 ふじかわ おさむ at 和歌山市


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