<旅のまとめ ラオス〜タイ日記 Laos>

last update 20.April.2010




 飛行機に乗ったことのある方ならご存知だろう。飛行機は離陸(飛び
立つこと)よりも着陸(空港に降り立つこと)の方がむずかしい。

 旅の最終日。北京から関西空港へ飛んだ。

 関西空港に着陸する20分前から、美しく青い海の上を飛行機は飛び
続ける。日本は美しい。

 北京からだから、北からのアプローチ。
 大阪湾が左手に見える。
 天気は晴れ。気温14度。

 どんどん高度を下げていく。耳ぬきも無意識にやっている。

 ミーーーッ 床下からのわずかなモータ音が聞こえる。
 これはタイア(車輪)を格納してある「とびら」を開ける音。
 続いて、ドンッという音。
 これはタイアを出した音だな。

 タイアを出したのでその分空気抵抗が増し、風切り音もボーーーッと
やや強くなる。

 速度も落とし(落とさなければならない)抵抗も増えたので、飛び方
もやや不安定だ。機体がダダッと何度も揺れる。

 窓から関西空港の端がわずかに見え始め、滑走路もわずかに見える。

 きちんと滑走路の真ん中に「着陸」しなくてはならない。
(ほとんどコンピュータ制御ではあろうが)機長さん、ヨロシク。

 ドンッ

 まず、機体(胴体)中央のタイア(車輪)が滑走路に接触する。

 ソフト・ランディング(柔らかな着陸)だ。
 コンピュータくん(機長さん)、上手。

(コンピュータがない時代は、機長(ヒト)の手で着陸していた。21
年前に乗ったアエロフロート・ソ連航空は機長の手で着陸していた。な
のでうまく着陸できたときには、機内は拍手に包まれた。まるでロック
・コンサートのように)

 続いて、ドンッ

 前輪も地面に付く。

 スムーズだ。

 その瞬間、逆噴射〜

 ボーーーーーーーーッ

 これは飛んでいるときとは逆側へ噴射することによって、ブレーキを
かけている音。

 ありがとう。逆噴射。

 いつも思う。この逆噴射のシステムが故障していたら、飛行場の建物
に突っ込むのかな、と。(^^;

 ボーーーーーーーーッ

 この逆噴射をしている間(かん)、ボクはいつも物理学の慣性の法則
を思い出し、感じる。

 慣性の法則というのは動いている物体は特になにも抵抗がなければ動
き続ける、というものだ。

 これだけの長い時間(といっても25秒くらい)逆噴射でブレーキを
かけなければ止まれない飛行機。

 ものすごい運動エネルギーを感じる。これはつまり大きな物体(機体
)が、ものすごい速度(スピード)で飛んでいた(動いていた、もしく
は運動していた)ということ、を感じる、ということ。

 逆噴射が終わるとホッとする。

 あとはしかるべき停止位置に止めてもらって、その後、飛行機を降り
るだけだから。

*

 飛んでいるとき、上記とはまったく逆方向の「慣性の法則」も感じる。

 それは「空気って重いなぁ〜」というもの。

 空気の壁を切り裂き、ジェットエンジンのパワーで突き進んでいる、
のを感じるのだ。

 これだけのパワーをかけても、たったの 800km/h .

*

 また、ふかふかの羽毛のふとんに飛行機がのっている、そんな感じも
受ける。

 空気って目に見えないけれども確かに存在する。

 クルマを運転しているときにも感じるし、もちろん自転車をこいでい
るときにも感じる。

*

 外でそよ風が頬(ほお)を撫でる(なでる)とき、その風は空気なん
だ。

*

<ラオスを選んだ理由>

 今回なぜラオスを選んだのか。

 田辺で知り合った友人(おばさま)は大のアジア好き。

 タイがお気に入りだったのが、数年前からラオスにはまる。

 いわく「ラオスはタイよりも料理がからくないし、ヒトがいい。ラオ
スのルアンパバーンに行くといいわ。お店もセンスがいいの」

 タイも数年前から魅力ある国として映っていたが、ラオスは目に入っ
ていなかった。

 ベトナムもいいとは思うが、現在、世界中の投資家のおカネが集中し
ているのがひっかかった。貧富の差はさらに拡大しているだろう、と。

 フィリピンは英語が通じちゃうところが、壁が低いなぁ、と。あとは
アメリカナイズされている可能性は高いかな、と。

 カンボジアは、あの悲しすぎる歴史が、ひっかかる。

 しかしながら上記の国々はいずれも行ってみたい国々だ。

*

 欧州に目を移すと・・

 トルコに行きたかった。
 スペインにも行きたかった。
 南イタリア、南フランスにも行きたかった。

 しかし調べてみたらヨーロッパ全土にチェルノブイリの放射能の影響
はいまだ色濃く残っていることがわかった。あと三万年くらいは注意が
必要だ。

*

 6年前にバリ島に初めて行ったときからアジアに目覚めてしまった藤
川家。なので、今回もアジアの中の最後の辺境の地(未開発地域)「ラ
オス」へ行くことにあいなった。


<ラオスという国>

 ラオスは農業国?? 大規模農業で成功している国ではないから農業国
とは言えないのかもしれない。自給自足している家族が多いだろう。家
も自分で建てるのが当たり前。質素な生活。しかし貧相ではない。

 もちろん、クルマもパソコンの部品(HDなど)もつくってない。ハ
イテクがない国。だからいい!

 財テクも金融もないに等しい。おカネがない。kip にパワーがない。
だからいい!

 おカネがないくせに(笑)物資をタイなどの近隣諸国から輸入してい
る。クルマやバイクも日本や韓国やドイツから輸入している。いろいろ
なものを海外から購入したい。そのために外貨を稼ぎたい。

 なので、ラオスは観光産業で生きている。

 それをラオス人はよく理解しているので、観光客は大事にされる。と
は言っても、日本的な気づかいなどはなく、自然体に対応してくるのも
いい感じ。わざとらしいサービスは皆無。うん、その方が氣分がいい。


<旅人にフレンドリーなラオス>

 ラオスの街中で見かける旅行者の大半は欧米人だ。

 街はラオス人と欧米人で埋め尽くされていて、日本人は、三週間のラ
オスの旅の中で5,6回しか見かけなかった。それほど日本人は少ない。

 昨年のニューヨークタイムズ(新聞)で、いま一番おすすめな旅行先、
と題する特集があって、それが「ラオス」だった。開発がいまだ進んで
いない国であり、ヒトが素朴だから、と。

 今回、ボクらもラオスを旅して、まったくその通り!と思った。

 それにしても欧米人つーのはセンスがいい。

 ラオスが面白い、楽しい、旅しやすい、心が休まる、食べ物がおいし
い、フルーツ天国、おまけに治安も良い・・などなど、そういうことを
やつらは知っているのだ。

 日本人、がんばれ!こんなに興味深い国を放っておいて、他の国(ハ
ワイとかグアムとか、いえ、そこに行くのがわるいと言っているわけで
はなく、)へ旅している場合じゃないだろう。

 今回、Mut Mee で出会ったカリフォルニアから来たジョン。彼いわく
「日本人はなぜあんなにパック旅行が好きなんだ?パック旅行は連れ回
されるだけだろ?あれは旅行とは言えないんじゃないか?」

 ボク「そうそう添乗員が明日の朝は7:00に起きてください、とか
言うしね」

 ジョン「そうだよな。せっかく旅にきているのに、他人から指図され
るんでは心もからだも休まらないよ。旅にきている意味がないよな」

 ジョンは奥様といっしょにタイを旅していたが、この Mut Mee(宿)
の雰囲気とここを訪れる旅人たちが好きになってしまい(奥様には先に
カルフォリニアへ帰ってもらって)自分だけは一人で、もう二週間も延
泊しているおじちゃん。60歳過ぎ。でも超元氣。

 ジョンの上記の声を聴いてほしい。この魅力的なアメリカ人は日本人
のことを理解しようと長年、努めてくれているのだけれど、多くの日本
人を「オレは理解できんなぁ」と言っているのだ。こういう親日的なア
メリカ人からも理解してもらえなくなったら、終わりと思わへん?


<定年後でほんまにいいの〜・・?>

 日本人からよく聞くセリフ。

「定年後は、ゆっくり夫婦で海外旅行でもしましょう」

 別にわるくない。
 海外旅行も国内旅行もなにもせず、つまらなそうに生きているよりは
よっぽどいい。

 けど、定年後は60歳だ。頭の回転の速さも運動能力も知識の吸収力
も記憶力も、ついでに感性も感受性も30代、40代のときよりも劣っ
ているだろう。

 だったら、早いうちがいい。

 パック旅行は下手をするとバスに乗っている時間の方が長かったりす
る。

 これが果たして旅行と言えるだろうか。

 対する「フリースタイル」(個人旅行ともいう)の旅は体力が勝負だ。
添乗員はいないので、頼りになるのは自分だけ。指令を出すのは自分の
「脳」。動いてくれるのは自分のからだだ。

 だったら、早いうちがいい。

*

 話をちょっと広げよう。

 定年後は「田舎で家庭菜園でもしながらのんびり暮らそう」という。

 これもわるくない選択だ。

 しかし、田舎暮らしは実は忙しい。

 草刈りしなくちゃいけない面積も広いし、薪割りもしなくちゃいけな
い。(竹の薪はおすすめ)消防団にも入らなくちゃならない。畑仕事も
農繁期はたいへん。家の修復もなるべく自分でやりたい。ベンチやいす
なんかは簡単に製作できるようになりたい。

 つまり、のんびりできないのが「田舎暮らし」

 やる氣になったら、その氣になったら、いくらでも仕事があるのが「
田舎暮らし」

 だったら、早い方がいい。会社を辞めるのは。

 この話を一昨年前、友人にしたら、彼は会社を辞め(奥様が良き理解
者だった!)いま屋久島で(お子様も一人ふえて、おめでとう!)家族
四人で仲良く暮らしている。

 彼も奥様もロンドンで知り合ったせいか、お二人とも英語が堪能。特
に彼は社内でも間違いなく優秀な人材だっただろう。しかし(おさむ)
という不思議な動物(イキモノ)に出会い、人生が変わってしまった。
(笑)

 彼はアイディアの塊だから、きっとうまくいく。げんにうまくいって
いる。

*

 これだけ地球環境・地域環境・自然環境が破壊され、さらにその破壊
されるスピードは加速しているのに、かつ、世界経済・日本経済・地域
経済・地方財政がこれだけ圧迫され借金が増え、一秒ごとに借金が膨れ
上がっているというのに、会社・企業・東京・都市にしがみついている
こと自体が、いやその方がむしろアブナイということをそろそろ認識す
べきだろう。

 都会はやわい。

 地震がきてもいちころだし(神戸を思い出してごらんなさい)金融危
機がきたら給料は出ないし、耕そうにも畑も田んぼもない。水不足にな
れば、それだけでパニック。

 田舎は頑丈だ。

 地震がきても、倒れてくるビルはないし、安全な竹藪もある。給料は
もともとないから、給料が出なくても困らないし(笑)水は近くの谷川
の水を飲んでいればいい。

*

 だから田舎があるヒトは、いますぐ東京を捨てて、田舎のご両親のご
実家に帰れば良い。

「帰っても、なにもすることがない」って?(田舎には仕事もないし)

 それでいい。(これでいいのだ!)だ。

 サラリーマンを十年以上?も続けたのだから、しばし「おつかれ休み
」を自分自身にプレゼントしたらどうだろうか。

 なにもしない日々を過ごしていれば、人間誰でもなにかをしたくなる。

 たぶん、それが、その地でキミ(あなた)ができることだ。

 そのためには奥様の理解が必要だ。

 だから奥様、どうか、だんなを、ご主人を、自由にさせてください。

 ご主人は、ご主人というからには、きっときっと有能なので、奥様や
まわりのヒトを驚かすほどのことをやってくれる人物やと思います。

 奥様、あなたが選んだ他ならぬ「ご主人様」ですから、どうか自由に
して「鳥かご」から、そのつかれきっただんな様を出してあげてくださ
い。

 そういう素敵な奥様が一人でも増えていったら日本は変わるよ。

 原発問題だって、かんたんに解決するさ。

 プルサーマルもあぶないからやめとこか〜、となる。

 もんじゅもやめとこか〜、と。


* * * * *

 そうそう、

 ラオスへ旅出つ前日に判明したことがある。

 なおこ、第二子を授かりました。(10年ぶり)
(拍手〜)(パチパチパチ)

 というわけで、ラオスで、特にタイでつわり〜

 帰国後の現在もつわり、でつらそう〜なのだけど、ハッピーなニュー
スだ。(^^


<最後に、ラオスへ旅立った理由>

 とにかく「自由」を表現したかった。

 人間は「自由だ!」ということを。

 二年前にこの目で見た India の貧困層のホームレスのヒトたちのあ
の極限まで追い詰められた、食べ物も水も屋根も、頼れるヒトもいない、
あの悲しい生活を想像すれば、「会社を辞める」ことなんてなんぼのも
んじゃい!

 「給料がなくなること」は決してこわいことではなく、代わりに「自
由を得る」ことに他ならない。

 素敵な奥様をゲットしたら、奥様に365日、毎日、夢を語って、会
社を辞めさせてもらおう。壮大な夢を真剣に語るのだ。

 自分の力だけで生きる、誰にも頼らない、それが「男」の心意氣だ。

*

 格好つけると、なぜか「格好わるい」よね?

 けど、格好つけずに「直球で生きている」姿は、男のボクから見ても
格好いいぜ!

*

 ほんまにすごいヒトは、自慢することが皆無だ。

 それはほんまにすごいから「自慢する必要がないんだ」

 だから、そういうやつは、ホレボレするほど、ドキドキ!

 ときめくほど、かっこええ!

 そういうもんだろ?

 キラキラ光線! ビーーーーーーーーム!!

 届いた?

 みんな! ありがとう!

 ふじかわ おさむ at Wakayama 2010. 4. 20



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