<空とぶブッダ>

last update 22.November.2007


 正木高志さんの「空とぶブッダ」を読み終えた。2007年4月に出
版された緑の表紙の薄い本。多分、読んだヒトも多いのではないだろう
か。その中に九条について書かれている。いまのところ九条を変えよう
とするヒトと守ろうとするヒトは50:50なので、たった5%の票が
将来を左右するという話。ということは、これまで投票に行ったことの
ない若者が投票に行けば九条を守れる。自ら将来を守ることができるい
まの若者たちはその幸せ度合いを感じているだろうか。

 P71に神についての記述がある。「大自然の神」と「人間神や祖霊
神」をボクらは混同しやすい。ここ、氣をつけなければならない。とこ
ろで、伊勢神宮では、太陽神の上に、あろうことか、人間神がそれを塞
ぐかたちで祀られている。なぜそんな本末転倒なことがなされてしまっ
たのか。その答は本書の中にある。1300年間も伊勢神宮は宗教装置
として現在においても機能している。

 正木高志さんのいいところは、一刀両断に「伊勢神宮はいかん」とは
言ってないところだ。ちゃんと「伊勢神宮」の貢献度の高さを認めてい
る。渾身の正木高志さんのこの本、ぜひ一読をお勧めする。ちなみに出
版元は辻信一さんの(有)ゆっくり堂。先日、辻信一さんが「情熱大陸
」に出演されたときにも、この緑色の表紙がチラッとテレビに映ってい
た。

(「空とぶブッダ」についてはここまでです。以下はボクからみなさん
へのメッセージ)

<ハイキング>

 東京に住んでいた頃、よくハイキングに出掛けた。五月の新緑の季節
に山を歩けば、それは見事な緑一色の世界だったし、十月に山を散策す
れば秋の紅葉が、それは見事に遠くの山々を染め、赤や黄色やオレンジ
の葉が不思議なくらい心に語りかけてきたのをよく覚えている。

 一緒に横を歩いている友人や、その日初めて出会ったヒトたちに「い
や〜、紅葉がきれいですねぇ」と言えば「きれいねぇ〜」となんとも感
慨深いことばが返ってくるので、あぁ、みんな同じような感覚で、この
紅葉を美しいもの、きれいなものとしてとらえているんだなぁ、という
当たり前かもしれないけど、その共有感がうれしかった。

 ハイキングは最高だ。なにがって?それは初対面でも仲良くなれるか
ら。かなり急な坂道、しかも足場がわるい、なんてことはよくある。そ
れでもみんな励まし合って(雑談も励まし合いだね)頂上を目指す。山
を登る理由なんかこれと言ってない。緑や紅葉がきれいだったり、空気
がきれいだったり、体を動かすことが氣持ちよかったり、理由は数々あ
るけれど、これといった理由がないのに、みんなで懸命に登っていれば
道中で会話もはずみ、下山途中でもさらに仲良くなったりする。

 少し仲良くなったらば「どんなお仕事をされているんですか」と聞い
てみる。外人にもよく同じ質問をした。"What do you do?" と。みんな
快く答えてくれた。様々な職業があるもんだ。金融、商社、メーカー、
IT関連、自然環境の研究者もいた。職種もエンジニアや営業、事務、
通訳の方もいらした。

 みんな平日は仕事をしておカネを稼ぎ、週末は息抜きやリフレッシュ
のためにこうして山へハイキングにくるんだなぁ、と思った。

 しかしなんともかんとも、おいしいとこどりだ。平日はしっかり稼い
で週末は自然を満喫できる。つくづく都会人の楽しみ方だなぁ、と思っ
た。

 けれども、よく考えてみればハイキングが趣味のヒトって、どのくら
いの割合で存在しているのだろう。かなり少ないのではないだろうか。
ということは、ハイキングに行こうと思い、実際にハイキングにきた、
ということを勘案すると自然を愛する心をまだ持っているということの
なによりの証拠ではないか。そう思うとなおさら、都会的な週末の楽し
み方を知っているヒトたちを非難するコトバがない。

 これで話はおしまいである。

 都会で会社員をして給料をもらっているということは、膨大なエネル
ギーを使い、環境を破壊している、その代償に、ということに他ならな
い。そうなのだ。つまり経済の仕組みというのはいまだにエネルギー(
石油・電気)を使い環境を破壊した者に高給を与え、環境破壊を少しで
も食い止めようと、日夜頭を使い、小さな活動にいそしんでいる者には
給料はビタ一文やらん、という、たいていそういう仕組みになっている。

 当然、ハイキング好きな会社員も、平日は莫大な環境破壊をしている
一員に過ぎないわけだが、彼を非難するコトバをボクは持たない。ハイ
キングが好きなんて、なんて素敵な趣味を持っているんだ、すばらしい
と思うだけで話はおしまいである。(スーツを着こなしたそんな彼・彼
女は格好いい。ちょっとクリーンなイメージが強過ぎてずるいような氣
もするが・・)

 つまり環境問題は根が深いのだ。だって、環境破壊をしている人間を
非難することさへできないのだから。ハイキング好きでなくても、スク
ーバ・ダイビングやハング・グライダー、神社やお寺巡り、温泉好きで
もいい。見渡せば、ほとんどのヒトが日本の四季や自然が好きと答える
だろう。

 みんな自然が好きなのに、きれいな空気や、きれいな海が好きなのに、
旬のおいしい野菜が好きなのに、毎日、給料のために自然破壊にいそし
んでいる。先日、ある友人に聞いてみた。「どうして自然が好きなのに、
環境破壊をしておカネを稼ぐの?」彼の答はこうだった。「仕方ないよ。
だって会社は辞められないじゃん」以上、話はおしまいである。

 想像力の欠如かもしれない。大きな電力を使うとはどういうことなの
か。イマジンすること。これが大切。ジョン・レノンが歌っている。イ
マジンしてごらん、と。

<A.B.C.(笑)>

 独身ならば会社は辞めやすい。結婚していても両者が納得できれば、
会社を辞める道はある。子供が二人くらいいても、なんとか会社を辞め
る道は模索できる。しかし、都会に新築を建てるかマンションを買った
かして、住宅ローンをかかえている場合は、会社を辞めるのは難しいだ
ろう。一生、解雇されないことを祈るばかりだ。

 ところが独身であっても会社を辞めようとするヒトは少ない。よほど
おいしい仕事なのだろう。会社員にはABC三種類あって、A.楽で高
給な会社員(1%)、B.仕事はたいへんだけど、それなりに楽しめる
仕事もあって給料もまぁまぁもらえるからまっ、いいかという会社員(
29%)、C.仕事はつらく単調で面白みもなく給料も低いけど、転職
する勇気もないし、仕方がないからこの仕事を続けるしかない、という
会社員(70%)

 Aは少数なので脇に置いておいて、Bが29%もいるのだ。(いるの
だ、なんて言っても独断と偏見に満ちたパーセンテージだけど、当たら
ずも遠からずだと思う)そういう会社に勤めていたからわかるけど、本
当においしい生活だと思う。カネはまぁまぁあるわけだから、映画、美
術展、ライブ、レストラン、と言った都会的な趣味も持続できるし、前
述の自然を満喫することもおカネの力によって十分できるわけだ。

 本当は早いとこ氣づいた順にでも、自然環境に配慮するヒトたちには
さっさと会社を辞めてほしい氣もするのだが、当の本人たちにしてみれ
ば、おカネがあるから自然を楽しめるのであって、おカネがなかったら
自然を楽しめなくなってしまうという思いが強いので、そう簡単には会
社を辞められないだろうと予想がつく。

<衣食住は、うん、大丈夫よ>

 こんな声も聞こえてくる。「会社を辞めたら、給料がなくなるでしょ。
そうしたら生きる基本である衣食住もままならないんじゃない?」と。

 まず「衣」着るもの。服。これはみなさんたくさんお持ちでしょう。
Tシャツも千円くらいで買えるし、肌触りがいい大好きなオーガニック
コットンのTシャツでさへ三千円で買える。着るものは問題ないのでは
?

 次に「食」これはおもしろい。家庭菜園はやってみれば意外にうまく
いく。失敗もまた勉強になる。失敗は成功の母。米と旬の野菜、それか
ら大豆、雑穀、海草があれば、食卓は華やかなものになる。

 最後に「住」これは結構探さないといけないかもしれない。都会では
住居費がべらぼうに高い上に、家庭菜園をするスペースも普通はないの
で踏んだり蹴ったり。つまり都会では会社員をすることが前提になって
いる。これではおカネに全面的に頼るライフスタイルからの脱却がなか
なかできない。一方、田舎はすっかり過疎になっているので空家やタダ
で借りられる畑がいっぱい。ただし、ここが日本人のケチなところで、
なかなか空家を貸してくれない。従って、親戚や縁故を辿って空家を探
すといいだろう。多分、一戸くらいは空いているはず。

 もし、田舎暮らしをしたいならパートナーは都会で探しておくといい
と思う。なにしろ都会は出会いの場が多い。しかし田舎へ移住してから
見事に射止めた例も多いので、どちらでもいいのかもしれない。和歌山
県にも独身の素敵な女性が何人もいるので正直驚いている。

<水と食糧>

 アメリカ・オーストラリア・インド・・ここ30年以上大規模農業を
成功・持続させてきた国々で、ついに地下水の枯渇が秒読みに入った。
(NHK特集でも放映されていた)大規模農業は地下水を汲み上げるこ
とで成り立ってきたわけだから、地下水が枯渇すれば、もうそれ以降は
農業は続けられない。国内自給率40%の我らが日本はかなりマズイ状
況になりそう。

 現に小麦の値段は高騰しており、パンの値上がりが懸念されている。
アメリカ小麦のパンに興味はないが、愛すべき国産小麦の値上がりも始
まっているので、そろそろパンが高級品になる日も近いだろう。イタリ
ア人が好きなパスタも現地では高騰しており、パスタを食べないストラ
イキも行われているという。他にもありとあらゆる食材が世界的に高騰
しているのはみなさんもすでにご存知だろう。

<日本国の借金>

 日本の借金は現在770兆円と言われており、利子は秒単位で膨れ上
がっているので、返済できる目処はたっていない。だいたい国家予算の
9倍ほどの借金があるのだから、日本国を一般企業になぞらえればとっ
くに倒産しているわけだ。

 なのに、まだ、あなたは「日本円」を信じているの?ボクだって信じ
たい。けれども、来月もお給料を日本円でもらって、貯金して、それで
安心?ハイパーインフレを日本政府がチョイと仕掛ければ、国の借金は
消え、と同時に国民の預金はゼロになる。数年前にロシアで起こったこ
とがここ日本では起こらないと誰が言えるだろうか。

(参考)
ロシアのハイパーインフレ
http://www.teamrenzan.com/archives/writer/tachibana/post_194.html

第1〜3波のハイパーインフレがありました。

1992年 ロシアの物価は急激に高騰した。(1年に7000%)
1994年 ロシア政府は突然通貨価値を1000分の1に切り下げる
デノミを強行。


日本の借金時計
http://www.takarabe-hrj.co.jp/clock.htm

日本の借金時計
http://www.geocities.jp/mkqdj167/japan.htm

mixi 「人と自然」とりのさとさんからのコメント
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=25313756&comment_count=1&comm_id=384676

*

 ヒトは環境の生き物だ。なかなかいまの環境を変えたくないのはわか
る。ヒトは惰性の生き物だ。意外に惰性で日々が過ぎていってしまって
はいないか。(自己反省も含めて(^^; またヒトは慣性の生き物かもし
れない。そのまま進んでいくしかないようにも見えるから。

 それでもコミュニケーションすることは好きだな。(^^

 mixi の写真は、ウチから自転車で10分、そこから頂上まで歩いて
20分の高津子山の山頂から撮影した写真。(2007. 11. 13)

 2007. 11. 21  ふじかわ おさむ at 和歌山市


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